質のよい睡眠をとる

 

睡眠について

私達は、「早く眠らないと明日に差し支える」などと考えるように、睡眠の重要性を経験的に知っている。
しかし、睡眠の役割や重要性が科学的に解明されてきたのはつい最近のことらしい。

人間にとって睡眠は人生のおよそ3分の1を占める休息、安らぎを得るための時間ですが、その役割や重要性が科学的に明らかにされるようになったのは比較的最近のことです。 近年、生活様式の多様化、夜型化により睡眠時間が短縮し、それによりさまざまな弊害が生じています。たとえば、睡眠不足による昼間の眠気から増加している交通事故や、新幹線の運転士の居眠りなどは皆さんの記憶に新しいことでしょう。昼間の眠気は事故ばかりでなく毎日の就業や勉学に生産能率低下を引き起こし、このような状態が長期化すると心身への影響もみられ、不安やうつ状態をまねく場合があります。さらに、これらの睡眠の問題は社会経済問題をも引き起こします。睡眠不足だけでなく、今や国民の4~5人に1人が睡眠について何らかの悩みをもっていると言われています。睡眠は、単に「睡眠医学」の領域のみならず社会経済問題からみた「睡眠社会学」、および睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」、の3つの切り口から取り扱っていこうという機運が高まり、これら3つをまとめて「睡眠学」という新しい学問体系が成立しつつあります。(引用元: 日本睡眠学会 ) 

 過去、睡眠時間は無駄と言われ、「ナポレオン睡眠」など、短時間睡眠を推奨するような書籍が流布するような時代もあった。

睡眠の重要性

睡眠不足になると

睡眠不足になったら、どのようなことが起きるか、経験があれば想像に難くないだろう。
まずは集中力が落ち、仕事や勉強が進まなくなる。
記憶力も落ち、物事を覚えるのに時間がかかる。
また、ミスも多くなり、機械の操作や車の運転などで事故を起こす確率が高くなる。

感情が不安定になり、イライラしがちになる。
睡眠不足が長く続けば、元気がなくなり、暗い気分が晴れない。
そのままうつになってしまうこともある。

心血管疾患、糖尿病などの病気になりやすくなる。
免疫力が落ち、インフルエンザやガンに罹りやすくなる。

上記のことが重なり、結果的に老化が早まり、寿命も短くなる。

睡眠が果たす役割

眠っている間に脳内の老廃物を排出するらしい。
老廃物が排出されずに溜まると、認知症が発症すると言われている。

睡眠には、記憶を整理し、短期記憶から長期記憶に定着させる働きがある。
スポーツにおいても、眠っている間にスキルが向上することがあるらしい。
試験前に徹夜で暗記するのは愚の骨頂であり、試験前だからこそ睡眠を十分に取るべきだ。

質のよい睡眠をとるためにやってはいけないこと

何をすれば眠れなくなるか、私達は経験的に知っているはずだ。

  • 夕方以降にコーヒーを飲む
  • お酒を飲み過ぎる
  • 寝る前にスマホや PC 等の電子機器を使う
  • 悩みや不満に思うことについて考えてしまう

これらの悪習慣をやめれば、良質の睡眠がとれるはずである。

質のよい睡眠をとる方法

同じ時間に寝て、同じ時間に起きる

睡眠に最適な時間帯は午後10時から午前2時までの間であると言われている。
8 時間睡眠に根拠はないと言われているが、特殊な体質でない限り、8 時間は睡眠時間として確保しないと脳はスッキリしないだろう。
もちろん、自分の最適な睡眠時間を把握している人は、上記の時間帯を挟みながら、何時に寝て、何時に起きるかを決めればよい。

大切なことは、同じ時間に寝て、同じ時間に起き、そのサイクルを一定に保つことだ。
休日に平日の睡眠不足を解消するために、いつもより遅い時間に起きている人は多いと思う。
そのような人は、身体のリズムを一定に保つためにも、一旦は同じ時間に起きて、朝食などをとり、少し活動してからまた眠るという風にする方がよい。
しかしながら、それ以前の問題として、睡眠不足にならないように生活を改善することが先決だろう。

運動する

運動をすると睡眠が深まる。
運動は午前中にするとよい。
遅くとも夕方までに済ませておきたい。
夜に運動するとかえって寝付きが悪くなる。

胃腸が活動を終えてから寝る

栄養バランスを考えて消化によいものを食べる。
胃腸が活動を終えてから寝る方がよいので、早めに夕食を済ませておく。

寝る前に入浴する

入浴で血行をよくすると眠りやすくなる。
マッサージでもよい。
入浴は寝る 2 時間前くらいに済ませ、体温を下げておく方がよいらしい。

日記を書く

日記を書くことにより、悩みや嫌な記憶を吐き出して、ストレスを軽くしておく。
誰かに話すだけでもよいだろう。
話し相手がいなければ、ぬいぐるみに話を聞いてもらう。
いずれにせよ感謝の気持ちで締めくくるとよい。

寝室の環境を整える

寝室は眠る場所専用にする。
ワンルームなど、それが難しい場合は、ベッドを眠る場所専用にする。
他の目的では使わない。

眠る間は一切の光を遮断する。
PC やスマホ、テレビなど、光を発するものは置かないようにする。
暗闇が苦手な人は適度な明るさになるよう工夫する。

室温は15度から20度までの間が睡眠にとって適温とのこと。
電気代はかかるが、良質の睡眠をとって稼ぎを増やすことを考えよう。

枕の広さや高さ、柔らかさは人によって異なる。
枕の材質など、自分に適したものを選ぶとよい。
また、布団やパジャマについても同様、重さや肌触りなど好みに合ったものを選ぼう。

布団の暖かさに幸せを感じる

寝るときは何も考えないのが一番よいが、できない人が大半であろう。
経験上、暖かい布団の中で眠れることに感謝し、幸せを感じることにより、寝付きがよくなる。
また、ゆっくりと呼吸をし、息を吐くときに頭から落ちていく感覚をもつと、自然に意識が遠のいていき、知らぬ間に眠ってしまっている。
自分なりに何をすれば寝付きがよくなるのか、いろいろと試してみるとよい。

まとめ

上記のことをすべてやろうとすると、生活のどこかにしわ寄せが出てしまい、長く続かないだろう。
自分にとってやりやすいものを選び、少しずつ続けていくことが良質な睡眠をとる秘訣になると思う。

参考文献

岩田アリチカ, なぜ一流の人は「眠り」にこだわるか?, すばる舎, 2015
ショーン・スティーブンソン, SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術, ダイヤモンド社, 2017
マシュー・ウォーカー, 睡眠こそ最強の解決策である, SB クリエイティブ, 2018

Posted in  on 10/31/2020 by rteak |