経済を回すことは重要
「非常事態宣言が解除されたからと言っても新型コロナウイルスの感染リスクがなくなったわけではない」で述べたとおり、新型コロナウイルス禍においても感染拡大の対策を十分に行った上で経済を回していくことは、国民にとっても国にとっても重要なことである。
現在の政府の対策を見ていると、お金をかけている割には効果が小さく、逆効果とも言えるような愚策もある。
この大事な局面で日本は本当に大丈夫なのだろうかと心配になる政府の舵取りだ。
なぜ愚策なのか
愚策といえば、「アベノマスク」と「Go To トラベル」が代表的である。
前者は、感染拡大抑止効果を目的としたが、国民に配付されるまでに時間がかかり過ぎており、マスク自体が機能的に劣る（飛沫やエアロゾルを透過してしまう）ため、ほとんど効果がない。
役に立たないから捨てたり、寄付したりしている例も多く見られた。
後者は、経済を回す目的で7月22日に施行されたものの、効果はほぼ期待できないであろう。
この政策は国内旅行の需要を喚起するために旅行代金の半分を国が負担するというものであり、問題なのは観光業を営んでいる人達を直接支援するような仕組みではないということだ。
観光客は、観光ができるほど余裕があるのにもかかわらず、確実に得をする。
一方、本当に困っている観光業者は、観光客がお金を使ってくれたら稼げるが、お金を使ってくれなければ一銭にもならない。
感染拡大を恐れて旅行を控えるという人も多いと聞く。
観光業の人達は、観光客に来てもらいたいと願う一方、感染者が出ると余儀なく休業せざるを得なくなるという不安もあり、手放しで歓迎できない。
このような状況で施策の効果が望めるとはとうてい思えない。
税金は効果的に使わないと意味がない
なぜこのような愚策が生み出されるのだろうか？
補償金を観光業者に直接配れば喜ばれるはずなのに、なぜこんなに回りくどいことをするのだろうか？
多分利権がからんでいて、政治家がやましいことをしているにちがいないと、誰もが思っているはず。
案の定、「アベノマスク」も「Go To
トラベル」も、政治家のスキャンダルがすっぱ抜かれた。
スケールは違うが、サラリーマンが交際費や交通費をごまかし、収入以外のお金を不正に得ようとするセコさと同じものを感じる。
「Go To
トラベル」には1.3兆円が注ぎ込まれるという。
腹立たしいのは、巨額の税金を使っているおりながら、そのお金が本当に困っている人達に行き渡らず、政治家やその取り巻き、政策の受託団体、旅行を楽しめるほど余裕のある人達がその恩恵を受けているということだ。
世の中には、震災や水害などの被災者、新型コロナウイルスと戦う医療従事者、新型コロナウイルス禍の影響を受けて収入が激減してしまった人達がまだまだたくさんいる。
救いきれていないのが現状だ。
この多重苦の中でも最優先事項となるのは、感染拡大防止対策を打ち、新型コロナウイルス禍を収束させることである。
とにかく新型コロナウイルスを何とかしなければ動きが取れない。
日本の窮地を救うためにも、国民の血と汗の結晶である税金を適正かつ効果的に使うべきである。
政治家の皆さんにはそれを託して一票を投じている。
襟を正して自身に与えられた使命を果たしていただきたい。
参考：福島の無名会社｢アベノマスク4億円受注｣の謎 | コロナショックの大波紋 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
